鈴木達央 Tatsuhisa Suzuki Official Website

DIARY

ケンガンアシュラ

2020年6月20日

24話全てのTV放送が終わりました。
Netflixでは引き続き、いつでもどこでも観れるので、是非そちらで繰り返し楽しんでいただけたら幸いです。
そして、パッケージも発売されるので、そちらも是非。

少しだけ、思い出話を書きます。

ケンガンアシュラは初めての2クール作品での主演作品でした。
当時でも、15年以上声優としてマイク前に立ってきたにも関わらず、主演作は片手で数えるほどの数。正直言って、肩に力が入りまくりでした。我ながら肝の小さい男だなと思います。

最初は本当に初期の王馬と同じような雰囲気でアフレコに挑んでいました。
誰にも負けない。誰にも負けたくない。
形のない「誰か」を仮定しては、見返してやる、ぶっ飛ばしてやる、価値観ひっくり返してやる、と息荒くマイク前へと向かっていました。

そんな様子を山下一夫 役のチョーさんは和やかに見守ってくださり、いつもそばでヤマシタカズオと同じように支えてくれました。

王馬は過去を思い返すシーンがあります。
二虎 役は奇才 藤原啓治。相変わらずの飄々としたお芝居だったそうです。
そう。実は、この作品では啓治さんに一度もお会いしていません。
いつも俺が先に収録して、完成したフィルムで初めて二虎の声を聞く。本当に王馬と二虎との関係性のような日々。でも、不思議としっかりと王馬に語りかける啓治さんの言葉は、いつも王馬を通して俺にも刺さり、会ってもいないのに、いつも見えないキャッチボールをしているかのようでした。

息巻いていた座長を支えるのは、老いも若きも入り混じった個性豊かでクソ面倒臭い声優陣。
先輩陣はスタジオで俺の顔を見たら、めんどくさそうに「タツが座長だろ。とんでもねぇ現場に入っちまったなぁ。」と、みんな口を揃えて俺の肩を叩きつつマイク前でとんでもねぇ芝居を繰り出し、若き精鋭たちは、馬鹿みたいに飲み屋で引っくり返る俺に飽きもせず付き合ってくれ、芝居の話だ、仕事の話だ、くだらない会話からちょっとでも何かを吸収しようと、常に貪欲な姿勢を見せてくれました。

気付いたら王馬と同じで、尖った雰囲気はいつの間にか自信に変わり、息巻いていた気持ちはもっと作品を良くしたいという欲求に変わっていきました。

なので、みんなに座長にしていただきました。

音響スタッフは話せば話すほど、こちら以上の熱量を返してくるし、監督陣や脚本家、制作スタッフはとにかく癖が強くて、こだわりも強いもんだから話は尽きないし、原作のヤバ子くん、作画のだろちゃん、編集の翔やんも口を開けば格闘技か筋トレか俺らの共通言語のオタクな話題で、何回馬鹿笑いしたか分かりません。

どんどんみんなが好きになります。
どんどんフィルムが好きになります。

とまぁ、色々と書いてはいますが、我々の気持ちは全てフィルムに込められています。

だから、本当はこんな小話はいらないのかもしれません。
ですが、もしこれを読んで、興味を持って、観てみようかな、また観ようかな、もっと好きになったな、とか誰か一人が思ってくれたら嬉しいな。と、卑しい俺は打算的な考えを持ちながらこれを書いています。

2クール作品の主演を務めて自分が得た事といえば、マイク前が好きだな、芝居が好きだな、フィルム作りが好きだな、アニメが好きだな、一緒に作る仲間が好きだな、こんなぐらいです。
いつも思ってる事が、より強くなったぐらいです。

ですが、言葉で書く「ぐらい」には、岸組で得たとんでもない思い出が詰まってます。
掛け替えのない経験が詰まっています。

この先に王馬とまた出会うならば、ここより遥か先に迎える自分でありたいですし、より強い自分でありたいと今は心の芯から思います。

ケンガンアシュラ、TV放送版に半年間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。

原作はケンガンオメガとして連載中です。
この世界、フィルムも漫画もまるっと愛していただけたら、これ以上の幸せはありません。

これからもこの作品をよろしくお願いします。

そして、永遠に残るこのフィルムに最大級の感謝を。
声はずっと、残ってますよ。志は、ちゃんと受け取ってますから。任せとけって。

なんたって、ケンガンアシュラ組は、闘うのが好きな奴らばかりですからね。